「そ、そんな……先輩がいけないんですっ!急にキスなんかするから……」 「しょうがないじゃん。したかったんだもん」 あっけらかんと答える先輩に、ズキッと胸が音を立てた。 “したかった” そう、ただの先輩の気まぐれ。 あたしが好きだからとか、そんな深い意味はなくて。 ただ単純に、“キス”がしたかった。 あたしのことを、先輩はどう思ってますか? 言いそうになるその質問を、あたしは必死に飲み込んだ。 聞いてどうするの? 迷惑がられるだけ。 それに聞かなくても答えは決まってるじゃん。