確かに環ちゃんは可愛い。今も昔もそれは変わらない。

だが…最近は体つきまで素晴らしいためにより魅力が増しておる。それに公立の高校な為か校則が緩くスカートが異様に短い。


これでは攫われてしまう——!



「…誰も環ちゃんなんか攫わないだろ」

——何処からか小生意気な中学生が言い放つがすかさず俺は言う。

「誰が攫うってまず俺が攫う!!!」

「ばっかじゃねぇの葉澄君。まずはりーさん(里菜)が危ないだろうよ」



——そんな中学生を無視し、俺は墨を擦りながら環ちゃんが書いている姿を見つめる。




(……やっぱ、環ちゃんは素敵だ)


俺が思うにこの教室で一番姿勢が良いのは環ちゃんだと俺は思う。凛としていて、筆を持っている腕もよく動く……。


席は若干離れているが、存分に話す機会はあるはずだ。













相変わらずはー君の字は凄い。

迫力がありつつも繊細で……神々しいと思ってしまうのは私だけではないと思う。

今も師匠に「秋水書道展」について褒められている。本当に凄いと思う……私なんて佳作レベルだったのにね。



(褒められる、褒められないの問題じゃない)



そんなのは頭の中で割り切っている。だけれど、私にはやっぱり敵わない人物だと思う。
照明で透かされる琥珀色の髪の毛がキラキラ…と光っていて、思わず「綺麗だな…」と呟きそうになるね。