——辿りついて見ると、環ちゃんがセクハラに遭っていた。



(ブチッ…)



「たまきちゃーん!!ぼくも抱っこして〜!」

「おれもおれもだってばー!!」

「ほらほら順番だよ、みんな」





思わず書道用具を落としてしまい、拳はワナワナと震えてしまう——にゃろう…(俺の)環ちゃんの豊満な胸に顔を——!!!!!



「何震えてるの葉澄……」

「里菜……(俺の)環ちゃんが子狼共に喰われる!!!」

「ないないないないない——…。アンタも馬鹿じゃないの?そんなに嫌なら全力で止めれば良いのに」



やれやれと首を竦めたのは友人である木梨里奈。有名私立お嬢様学校に通うが、俺と同期で3歳からの付き合いだ。


「それに副声音とか聞こえるし。にしても…環ちゃんって本当に胸、デカいわ…。羨ましい」


里菜の言う通り、環ちゃんはスタイルが良い。スレンダーな体つきなのに胸はDカップってどういうことだ?!

いやいやいや…俺は環ちゃんの体だけではなく全てが大好きだ。体だけじゃない。それに何故カップまで知っているかはストーカー行為ではない、これは里菜からの情報であって断じてストーカーという卑劣なものじゃない。



「だ、だって——…あんな笑顔の環ちゃん、俺に止められるわけない!」


「馬鹿じゃないのアンタ」


スパーンとまたもや言い放たれ、師匠には騒ぎ過ぎと怒られ——仕方無しに俺は墨を擦り始めた。



(畜生——あの餓鬼ども、ニヤニヤニヤニヤ…まるで変出者のような顔つきでいやがる)