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道端で出会う悪魔に胃が痛くなった。



「……そんなに私のことが好き?」

「気色の悪いことを言うな。殺すぞ」

目がマジだったんですけど、この人。



下校途中、何故か家の近くの道端で出会った加賀美航。

通称悪魔。一体私が何かしたかコノヤロー。




「………テメェ、マジで殺すぞ」

目に憎悪しかない男。
こいつも囚われていると長年の付き合いで察する。

「……私、何もしてないんだけど」

「……テメェのせいで、葉澄がまたおかしくなっただろうが」


根も葉もないことをいうのかこの男。
高身長で見下ろされるのが怖いのですが。


「テメェが書道作品を出すたびに葉澄がおかしくなるんだよ。……テメェが、出さなきゃあんな顔なんてしねぇんだよ!!」

「言いがかりも甚だしいよ加賀美君。……第一、本当に私とはー君を遮断したいなら監禁でもなんでもすれば良いって言ったじゃん」

「葉澄じゃなくて、おめーを監禁するっつったんだよバーカ」

「うっさいわね!この色情魔!!」

「俺のセクシーさを侮るな、このカス」

「何がセクシーよ。雑食のくせにして!」







「……とにかくだ。俺は寛容じゃねえんだよ――」

「……知ってるわよ、そんなこと」

「お前に与えるチャンスなんてもうねぇよ」

「加賀美君なんかにチャンス、与えてもらったことなんてない」



加賀美は環の頭を掴み、耳元に口を近づけた。





「…お前にはもう、終わりしかねぇんだよ」

「…何それ、予言?マジうけるんですけど」

「俺には読めるんだよ、展開が。予言でもなんでもねぇ。俺が手を出さなくとも、勝手に事が転ぶんだよ」