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「ねえ、小堺さん。大薙の"木城"君と知り合いなの?」



一体どうしてこうなった。
私は心の中で叫び声をあげた。


(……畜生。面倒なことになった)



加賀美君とはー君に出会った翌日、学校の行けばなぜか矢沢さんに呼び出された。
しかも……体育館裏って、ベタだよベタ!



「…い、いや~知り合いというか、なんというか…」

「ハッキリしてくんない?」

(すいません!!綺麗な顔で睨まないで!!)



体中に冷や汗を流しながら、私は答えようとした。

ここで嘘を言ったってしょうがない。本当のことを言おう…。
嘘ついたって、私には何のメリットもない。



「き、木城君とは…小学校が一緒だったの。まさか、バッタリ出逢うなんて~!や、矢沢さんはき、木城君と知り合いなの?」

なんて下手なんだ私!やましいことなんて一つもないだろう!!

「ふぅ~ん…。同級生ってわけ?」

「そ、そうです!」

「そう。ゆうは、木城君とちょっとした"お知り合い"なだけ。まあ、これから仲が発展していくんだけどね~」

ちょっとしたお知り合いってなんだよ!!
それただの知人じゃんか!



(……もしかして、合コンって矢沢さん達のグループと?)



以前聞いた会話と加賀美君の「欠陥品発言」が何だか一致したような気がするのは気のせいじゃなかろうか。




なんだか不穏な空気が渦巻いてきたような気がする。




「……じゃあ、余計なことしないでね」



その言葉に含まれた本当の意味を私はまだ解りえなかった。