君死にたもうことなかれ

完全に不意を突かれた。

御手洗少佐の装着している『金剛』は、装甲に優れる反面、運動性は高くない。

距離の詰まったこの状況では、朱雀の攻撃は回避できない。

キィィィィ…。

朱雀の口腔内からの収束音。

至近距離から、超音波メスを食らわされてしまう…!

「御手洗少佐!」

俺は思わず叫んだ!

しかし次の瞬間。

「―――――――――――――ッッ!!」

そんな俺や朱雀の動きを遮るかのごとく、玄武が咆哮を上げた。

本州と四国を結ぶ、巨大な橋。

その橋を支える太いケーブルさえもを空気の振動で震わせるほどの、まさに大地を揺るがす咆哮。

その咆哮に誰もが動きを止める。

俺達も、朱雀の群れすらも…!