君死にたもうことなかれ

やがて、輸送機は橋の上空に到達する。

輸送機の後部ハッチが開くと。

「……っ」

普段無口なドルフ大尉までもが、息を飲む声が聞こえた。

空中を旋回している朱雀の群れ。

この間の出撃の時の数の比ではない。

15、いや20はいるだろうか。

奇声を上げ、獲物を求めて我が物顔で飛び交う怪鳥達。

「もしかしたら、橋梁付近に繁殖の為の巣を作ろうとしているのかもしれんな」

御手洗少佐が言う。

こんな市街に近い場所で巣など作られたら、最早人間は住めなくなってしまう。

一刻も早く駆逐の必要があった。