「刹那三等兵」

いまだ立ち直れぬ俺に、白夜大尉も静かに語った。

「我らは兵士だ。消耗品であり、無辜の民に代わって死を肩代わりする者…愛する者を救う為、地獄を見るのが我らの任務…」

そう。

九条はそうして天に命を捧げた。

彼女が死ななければ、他の誰かがあの鳥葬の餌食になっていたかもしれない。

罪なき命を護る為、九条はその尊い命を天に捧げたのかもしれない。

そんな言葉で納得させようとしても、俺の頭の中では憤りは消える事はなくて。

「九条…っ…!」

俯き、歯噛みし、きつく目を閉じ。

それでも堪えきれない涙が、俺の頬を濡らした…。