君死にたもうことなかれ

「しかし!」

俺は少佐や、そばにいた舞姫、白夜大尉に食って掛かる。

「あいつは…何故あんな死に方を…朱雀の群れに、まるでボロクズのようにされてしまったんだ…腕を千切られ、目玉をくり貫かれ、内臓を引きずり出されて…俺の名前を呼びながら…」

思い出すだけで体に震えが来た。

「刹那君…刹那君助けてと…何度も俺に助けを求めて…だけど俺はすぐに動けなくて…」

震えは大きくなり、ガチガチと奥歯が音を立てる。

「俺がもっと早く動いていれば…そうだ…ナスティ中尉だけの責任じゃない…俺が…俺が早く助けなかったばかりに…九条は…九条は…!!」

「もうやめて!!」

自責の念に駆られる俺を、舞姫が抱きしめた。

「刹那君!もうやめて!自分を責めては駄目!悪くないの!誰のせいでもないの!これは…これは戦争なの!九条さんの死は、君の責任じゃないわ!」

「……」

舞姫の腕の中、俺は彼女の言葉を反芻する。

これは…戦争…。