君死にたもうことなかれ

とにかく俺はナスティ中尉から引き剥がされ、ナスティ中尉もまた、ドルフ大尉に連れられて自室へと戻っていく。

「刹那、少しやり過ぎだ」

御手洗少佐が言う。

「……」

俺は苛立ちながら椅子に腰を下ろし、両手を組んで歯噛みした。

入隊時から一緒だった九条。

同じ新兵だった九条。

俺よりも年下だった九条。

俺を慕ってくれていた、九条…。

まだ15歳だ。

成人すらしていない子供だったのだ。

そんな彼女が、何故化け物の餌食になって命を落とさなければならない…!?

「…九条三等兵の死は、決して無駄にはならん」

少佐が、何の気休めにもならない言葉を口にした。