やがて、こちらの様子に気づいた御手洗少佐以下第504駆逐小隊の隊員達が援護にくる。

全員でかかれば、たかが5匹の朱雀など物の数ではない。

瞬く間に朱雀の群れは駆逐され、大地に血肉色の屍を晒した。

初陣にして2匹撃破。

新兵の初戦としては上々の出来だ。

しかしそんな事など気にも留めず。

「九条!」

俺は九条に駆け寄った。

…最早彼女に意識はない。

辛うじて聞こえる、ひゅーひゅーというおかしな呼吸音だけが、九条の残り僅かな命を知らせていた。

「う…」

変わり果てた九条の姿を目の当たりにした舞姫が、思わず顔を背ける。

「しっかりしろ、九条!九条!」

ズタボロの肉塊と化した九条に、懸命に声をかける俺。

だが、わかっていたのだ。

彼女にはもう、命を永らえる力など残っていない…。