しかし、銃の反動を御し切れていないのか。

弾丸は全て逸れ、朱雀に回避されてしまう。

…そして悲劇は起こった。

九条の射撃に憤ったのか、朱雀達は標的を変更。

ナスティ中尉を無視して、一斉に九条へと襲い掛かる!

「え…」

戸惑うような九条の声。

それが俺の聞いた、九条の悲鳴以外の最期の声だった。

高速で飛翔し、強靭な後脚で九条の甲冑を押さえ込む朱雀達。

彼女は5匹がかりで地面に押さえつけられ、その鋭い嘴で装甲を剥ぎ取られていく!

「いっ、いやぁあぁ!いやっ、いやぁあぁ!」

耳を覆いたくなるような九条の悲鳴が、通信機越しに聞こえた。

『疾風』は機動力を重視した機械甲冑の為、装甲はさして堅牢ではない。

朱雀の嘴でも簡単に破壊されてしまう。

…まるで衣服を剥ぎ取るように、九条の甲冑を引き裂いていく朱雀。

やがて生身の九条が姿を現し。

「いぎいぃぃいぃいぃっ!」

朱雀達は、彼女の体そのものを啄ばみ始めた。