大尉とは犬猿の仲だ。

入隊初日から、あの人とは反りが合わない。

できればあまり関わりたくないのだが、どうも早乙女大尉の様子はおかしかった。

事務局の前で立ち止まり…中の様子を窺っているような素振り。

何をしているのだろう。

まさか…盗み聞き?

「早乙女大尉」

思わず声をかける。

「……!」

大尉は驚いたように俺の顔を見た後、慌てて駆け寄って、俺の手を引きつつその場を離れる。

そして物陰に隠れ、誰にも見つかっていない事を確認して。

「刹那、貴様っ…!」

血相を変えて俺の迷彩服の襟を掴んだ。