君死にたもうことなかれ

その後は単刀直入だった。

「白夜大尉のような別嬪が、こんな泥臭い軍隊なんて勿体無いすよ」

軽い口調と共に、彼は言った。

「俺の女にならないすか?んでもって、こんな汗くせえ軍隊なんてバックれちまいましょうよ」

つまり飛鳥伍長は、白夜大尉を口説いた上に、隊を共に脱走しようと言っているのだ。

如何にも軟弱。

如何にも脆弱な発想。

新兵の俺でさえ、その甘えた物の考え方には反吐が出る。

それ故に、白夜大尉ほどの人ならば、その憤りは相当なものだったろう。

有無を言わさず。

「あいってぇっ!?」

飛鳥伍長の頬を音高く平手で打つ!