君死にたもうことなかれ

食事を終え、夜10時の消灯までは自由時間となっている。

とはいえ、無駄に時間を消費しているのは九条くらいのもの。

他の隊員達は個人装備品の手入れを行ったり、教本片手に予習復習を行ったり、常に任務に関係する事に時間を費やしている。

ここら辺りに徴兵制で入隊した者と、志願兵の差が出る。

志願兵は自ら特獣自衛隊の門戸を叩いた者。

つまり日本国の為に、その身を捧げると誓った者だ。

志からして、俺達徴兵制の新兵とは違う。

それは義勇兵とて同様のようだ。

だから。

「こんな所に何の用だ」

宿舎の廊下でたまたま見かけた白夜大尉の表情は、実に迷惑そうだった。