君死にたもうことなかれ

舞姫の言葉を聞いて、九条の発言は更に容赦ないものとなった。

「そりゃあ気分も優れなくなるですぅ!まだ入隊して一週間も経たない刹那君にコテンパンにされたんじゃあ、立場ってものがないですぅ!」

…九条も第504駆逐小隊配属初日に、俺と同様頬を殴られたクチだ。

今はもう頬の腫れはひいているものの、殴られた事は余程根に持っていたのだろう。

それだけに、俺が今日の訓練で早乙女大尉から一本取ったのは、相当に痛快だったらしい。

食事をすすめる箸と同時に、饒舌な舌も止まらない。

「……」

俺はというと、そんな九条のまくし立てる声も耳に届かない。

食事もそこそこに、食堂内を見回していた。