君死にたもうことなかれ

「ほぅ」

一部始終を見ていた御手洗少佐が声を上げる。

「うわわわわっ!」

まだ甲冑を動かすのもやっとの九条も、感嘆の声を上げた。

「凄いじゃない刹那君!」

俺と同じ『疾風』を装着していた舞姫が駆け寄ってきた。

「甲冑を装着して初めてで、早乙女大尉から一本取るなんて!」

「……」

俺は自分でも少し驚きながら、甲冑を纏う自分の手を見つめた。

何というか…この機械甲冑という奴は、馴染む感じがする。

思ったよりも動きにくさや重さは感じないし、身につけての行動にも心地よさすら感じる。

「刹那三等兵には、機械甲冑適正があるのかもしれんな」

御手洗少佐の声。

それに紛れて。

「く…!」

早乙女大尉の歯噛みする声が聞こえた。