「皇舞姫(すめらぎまいひめ)伍長よ。衛生兵ではないけど…第504駆逐小隊も隊員不足でね。幾つかの役目を兼任している隊員は少なくないわ」

そう言って彼女…舞姫伍長は俺の傷を手当する。

「心配しないでね」

ふと洩らした彼女の言葉に、俺は視線を向けた。

「早乙女大尉の事よ。あの人は生粋の自衛隊員で、貴方や九条三等兵、それに私のような徴兵制で採用された兵士にはいい感情を持っていないの。志もなく嫌々入隊してきたお荷物新兵だってね」

「……」

成程。

早乙女大尉だけ俺達に辛く当たってきたのは、そういう理由があったのか。

「だけど、古株の隊員だって、新兵に親身になってくれる人達だって沢山いるわ。厳しいけれど、新兵が戦場で命を落とす事のないように、真剣に教育してくれる上官だっている。今日の事だけで挫折しないでほしいの」