君死にたもうことなかれ

この惨状の、どこが平和だ!

多くの若い命が失われ、尊い犠牲が何百万、何千万と生み出された。

確かに神獣との戦争は終わったのかもしれない。

しかしそれは、この日本だけの話だ。

この戦場から離脱していった朱雀は数多くいる。

彼らはきっと、近隣諸国でまた繁殖を繰り返すだろう。

それを追撃する余力は、特獣自衛隊には最早残されていない。

また、玄武が我々の倒した一匹だけとは限らない。

また世界各地で、神獣と人類の絶望的なまでの殺戮劇が繰り返される。

数限りない犠牲を払い、ちっぽけな日本の国土を奪還しただけ。

しかも、待つ者にとっては、もう帰らぬ人となった兵士達。

こんな結末で、人類は平和を取り戻したといえるのか。

言える筈がない。

俺は絶対に言わせない!