君死にたもうことなかれ

俺は再び立ち上がる。

「刹那君、大丈夫?」

舞い降りてくる舞姫。

そんな彼女に背を向けたまま、俺は斬獣刀を構えた。

…彼女にこの役目を託すのは忍びない。

時代錯誤と言われるかもしれないが、戦いは男の役目。

ならば…。

「生きてくれ、舞姫」

「……………え?」

俺の言葉の真意を、彼女に悟らせるよりも早く。

「刹那薫三等兵、出る!」

俺は大地を強く蹴って玄武に突進した!

…悔しかった。

誰かを守る為に、死ぬ事は間違いだ。

己の命をないがしろにする者に、他人の命など守れるものか。

その信念を覆さなければ、玄武にとどめを刺す事ができない。

その事が悔しかった。

ならばせめて、その役目を他人に押し付けるのではなく、自分の手で。

もう仲間が死んでいく姿を見るのはうんざりだ。

誰かを死なせるくらいならば、俺自身が命を懸けて!

死に物狂いの抵抗を見せる玄武に、俺は天高く跳躍する!