君死にたもうことなかれ

その気高く誇り高い気質と同様に。

白夜大尉の『疾風』は対獣刀を構え、迷う事なく一直線に突っ込む!

隻腕となり、機動力を失った玄武。

白夜大尉の剣を回避する事はできないだろう。

しかし、まだ迎撃の為の手段は残している!

大顎を開き、唾液で糸を引く口腔内を露わにした玄武。

その喉奥が赤く燻る!

「逃げろ白夜大尉!」

叫ぶ俺の声にも耳を貸さず、白夜大尉は突進する!

「ここで避ければ剣が鈍る!迷いは無用、ただ突き進むのみ!」

それは、白夜大尉の生き方そのものだった。

凛々しく、一点の曇りなく、目的に向かって邁進する。

それがたとえ、己の命と引き換えだとしても…!

「白夜・エメリッヒ・タチバナ、押し通る!」

白夜大尉は刺突の構えのまま、炎燻る玄武の口腔内へと飛び込んだ!

同時にその大顎の中で、『自決爆弾』を炸裂させる!