君死にたもうことなかれ

「だから自決爆弾を使うのか!?」

俺は怒鳴る。

「何故みすみす命を捨てるような真似をする!他に方法がある筈だ!」

そう。

死ぬ必要はない筈だ。

他に玄武を倒す方法が、きっとある筈。

しかし。

「刹那…いつぞやの夜、お前は私が飛鳥に対して言った言葉を聞いていた筈だ」

いたって冷静に。

これから死と向かい合うとは思えないほどの穏やかな口調で、白夜大尉は言った。

「我らは明日の平和の礎。弱き者の盾。命をも国家に捧げ、弱者を災禍より守る防壁となるべき者だ」

確かに、彼女は言っていた。

迷いなき、曇りなき瞳に決意の光を湛え、白夜大尉は凛々しくその言葉を口にした。

「ならば、今こそこの命を雄々しく燃やす時。見事に散り、この国の未来の為の、平和の為の礎となる時!」

そう言って。

「あっっっっっ!」

一瞬の隙をつき、白夜大尉は俺の手を振り解いて飛翔した。