君死にたもうことなかれ

そう言って、止める間もなく。

ナスティ中尉の『疾風』は、全速力で玄武目掛けて飛翔した!

「ナスティ中尉!」

俺は叫ぶ!

「馬鹿な真似は止せ!死ぬ気か!」

「ただ死ぬのではない!」

まるで咆哮の如く。

突進の速度を緩める事なく、ナスティ中尉は叫ぶ!

「私の特攻は、人類の勝利の為の一手!私の特攻を足掛かりに、何としても玄武を討て!」

そして、その言葉の最後に。

「九条…また独断専行だ…許してくれ…」

俺の纏う『轟天』に視線を向け、甲冑越しに彼女の儚げな笑顔が見えたような気がした。