君死にたもうことなかれ

元々まどろっこしい真似は苦手だ。

策を弄し、戦術を駆使し…などという戦い方は性に合わない。

真っ向勝負。

敵が数で攻めてくるならば、こちらはそれを正面から受けて立つ。

何より、いつまでも小競り合いを続けていては、若い兵士達が次々と命を落としていく。

あの整備の少女兵のように、泣く事すら許されずに任務を全うしなければならない者が幾らでも生まれるのだ。

小細工など無用!

人類の底力、化け物どもに見せ付けてやる!

「そこをどけぇっ!!」

斬獣刀を構え、刺突でことごとく朱雀を貫き通していく。

五匹六匹と刃に突き刺さったところで刀を一薙ぎ!

それだけで複数の朱雀の身が胴から千切れ飛んだ。

更に刃を振りかざしつつ、突進の速度を緩めない。

『轟天』の機動力を駆使して、朱雀の吐き出す超音波メスだけを回避する。

それ以外は回避など無用。

体ごと当たってくる朱雀をも、逆に突進で叩き潰す。

装甲に頭部を打ち付けられ、頭蓋の中身をぶちまけながら、朱雀がベシャリと地面に落ちた。