君死にたもうことなかれ

それでも、補給に躊躇っていると。

「グズグズするな!」

ナスティ中尉の『疾風』も加勢に来てくれた。

こちらはまだ弾薬が僅かながら残っているようだ。

弾幕を張りながら、朱雀の接近を阻止する。

「後方には舞姫伍長の『雅』のサポートもある。おいそれと私達がやられたりはしないさ」

ナスティ中尉の笑む声が聞こえてきた。

「…すまない、頼む!」

俺は素早く踵を返し、後方に控える補給部隊へと向かった。

…補給部隊の陣取る平地。

ここもまた、血みどろの戦場だった。

補給を行う傍ら、重傷を負った者達の治療も行われている。

さながら野戦病院。

片腕、片足を失った兵士などザラにいる。

中には最早息を引き取る寸前、それでも治療の順番が間に合わない兵士が、シートを敷いただけの地面に寝かされていた。

死体か患者かすら見分けがつかない。

直視に堪えない光景だった。