君死にたもうことなかれ

戦闘開始から、何時間が経過したのだろう。

開戦と同時に発射した麻酔弾の効果も、そろそろ薄れてきたのだろうか。

ハイヴから数多くの朱雀達が出現する。

屠っても屠っても、とめどなく湧いて出る異形の怪鳥の群れ。

際限なく現れる神獣達に、次第に特獣自衛隊も押され始める。

…既に損傷していない機械甲冑は、一体たりともありはしない。

皆一様に装甲が欠け、亀裂が走り、損傷を受けている。

弾薬補給の為に一旦後方に下がり、手薄になった箇所を別の兵士がカバーしながらの戦闘。

当然圧倒的な数を誇る朱雀達に攻め込まれざるを得ない。

「刹那、お前も一旦補給に戻れ」

白夜大尉が対獣刀を振るいながら言う。

「お前の『轟天』は稼働時間が長くない。早めの補給を心がけろ」

「…しかし!」

白夜大尉の『疾風』も、既に12ミリアサルトライフルの弾丸が切れている。

刀だけで朱雀と応戦しているという状況だ。

「大尉が先に補給へ!」

「刹那が戻り次第、私も補給に向かう!いいからいけ!」