君死にたもうことなかれ

俺は無言のまま続きを促す。

「…きっと玄武は…この世界の守護者なのよ…人類だけに肩入れする訳でも、朱雀だけに肩入れする訳でもない…この世界のバランスを崩す者を滅ぼす為の存在なんじゃないかしら…だから、この世界に害を与えるのなら、朱雀だろうと人類だろうと、玄武は敵と見なすんじゃないかしら」

「…馬鹿馬鹿しい」

俺は作業を再開した。

仮にそうだとして、このままおめおめと玄武に滅ぼされろというのか。

玄武や朱雀が、本当に神獣…神の使いだとして、俺達人類を見限って滅ぼそうとしているのだとしても…俺は戦う。

こんな戦争が続いている限り、幾らでも人は死ぬ。

無駄な人死にを見るのは、もう御免だ。

こんな狂った連鎖を止める方法が他にないのならば…俺は喜んで『轟天』を纏って戦場に立つ。

うんざりなのだ。

九条のような犠牲者が増えていくのは。