君死にたもうことなかれ

俺と大尉の決着がつく頃、他の隊員達もやっと場に駆けつけてきた。

しかし、俺はそれには目もくれない。

轟天を脱ぎ捨て、早乙女大尉の言っていた頭部制御パネルに手をかける。

と。

「やめろ刹那!」

取り乱したように叫んだのは御手洗少佐だった。

「そこは開けるな!『轟天』は軍事機密に匹敵する技術の塊だ!お前のような一兵卒が見ていいものではない!」

…もっともらしい事を言ってはいるが、その言動はどこかおかしかった。

何としてでもこの中を見せまいとしている、その真意が見え隠れしていた。

何を隠している?

何が隠されている?

俺の頭部制御パネルを開く手は止まらない。

それに対して最後通牒を突きつけるかのように。

「刹那三等兵!」

御手洗少佐は叫んだ。

「その中を見れば…お前は正気を保ってはいられない…お前は人間の狂気を垣間見る事になる…一生後悔する事になる…悪い事は言わん…見るな」

「……」

それでも俺は手を止めない。

早乙女大尉が命を賭してでも抹消しようとした『轟天』の中身。

頭部制御パネルの中。

それは…。