軍用のモスグリーンのジープや輸送トラックが、アスファルトで固められた敷地内を行き交う。

そんな中を早足で歩く俺の後を。

「待って下さいよぉ、刹那君~」

間延びした声で、一人の少女が追ってきた。

俺と同じ三等兵の軍服。

しかしサイズが合っていないのだろうか。

少々余裕がありすぎるように見える。

着ているというより、着せられているといった感じだ。

「刹那君はもう隊員として慣れている感じですねぇ」

やっと俺の隣にまで追いついてきた少女は、息を切らしながらもニコニコと笑う。

「慣れるしかないだろう」

俺は表情を変える事なく言った。

「有無を言わさない徴兵制だからな」