君死にたもうことなかれ

『あの計画』。

誰もが怪訝な表情をする中、御手洗少佐の眉だけが潜まった。

「滅多な事を口にするな、早乙女大尉。何も関係がない、事実無根の話だ」

「そうでしょうかね?」

ミーティング途中にもかかわらず、早乙女大尉は席を立ち、部屋を出て行った。

その表情には疑念と、不信が満ち溢れている。

…以降、大尉は自室に閉じこもったまま、顔を出す事はなかった。

訓練時も、食事も、一切隊員の面々と顔を合わせる事がない。

軍属としてはあるまじき行為だった。

出撃こそなかったからいいようなものの、彼自身が嫌う『規律を乱す行為』。

隊員の誰もが、轟天を任せられなかった事への不服が原因だと認識し、そんな子供じみた早乙女大尉の反抗に、失笑と失望を隠しきれなかった。

しかし。

真実は違う。

早乙女大尉…そして御手洗少佐は、もっと重大な秘密を握っていたのだ。