君死にたもうことなかれ

赤々と燃え盛り、飛鳥伍長の命は、やがて虚空へと消えていく。

「おのれ!」

ナスティ中尉が12ミリアサルトライフルを掲げて身構えた。

あの巨体を相手に、一戦交える気らしい。

「冷静になれ、ナスティ中尉!」

御手洗少佐が彼女を制する。

「怖気づいたのか、少佐!」

無礼を承知なのだろう。

ナスティ中尉は暴言を吐いた。

激昂している。

前回の戦闘で九条を己の独断専行により失い、今度は飛鳥伍長までも。

最早命を賭してでも、ここは譲れないと考えているのだろう。

俺とて同様だ。

握る刀に力がこもる。

しかし。

「撤退だ」