こうやって俺たちが、
ホールの中で、目線を交わすのは
初めてでは、ない……
もう、随分前だけど
やっぱり、こんなシチュエーションを
経験している。
お互いが、認識しあってるって
感じた事があった。
やっぱり、いつだったか
こんな風に、この場所で
目線が絡んで、会釈した俺に
真月も会釈を返してくれた時。
あの時もレンが
邪魔したけど…(泣)
俺は、叫びそうに嬉しくて
暗闇に紛れて顔の火照りを
冷ましてた。
その時の打ち上げで
何年かかったんだか…
漸く、話ができる間柄になって…
所用で、早々に打ち上げを
抜けた俺を、店のエントランスまで
真月が見送ってくれた。
『先生、講師演奏
カッコよかったよ』
って、別れ際に言ってくれて。
俺は、心拍数をあげた心臓を
必死に抑えながら
真月に何か言葉をかけた
記憶があるーーーー



