――カチャ


部屋の扉が静かに開く。

リディアがビクッとして振り返ると、そこには母アーリアの姿があった。


「お母様!」

リディアは思わず母に駆け寄る。


「リディア…」


「お母様、これが・・・」

リディアはポケットの中のボタンを母に見せた。


「これが、お父様のお部屋にあったの・・・。」


アーリアは思わず口に手をやった。


王室の紋章の入ったボタン。

それを着けるのを許されているのは、王室の血を引く直系の者、つまり亡き国王とフェルナンド公爵のみ。


しかも、青色のそれはフェルナンド公爵のものに間違いなかった。