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Side 香澄
「香澄、今日一緒に帰ろ?」
授業が終わった放課後。
鞄に教科書を詰めていたら、幼なじみの雪が一緒に帰ろうと誘ってくれた。
…でも、
「…ごめん雪。約束が」
「約束?」
「うん」
昨日、一臣君に数学を見てもらえる事になったあたしは、早速今日教えてもらえる事になった。
一臣君の学校も今日からテスト準備期間に入るから、部活はお休みらしい。
(そう言えば、お兄ちゃんとお姉ちゃんも言ってたっけ)
そろそろテストだって。
「…蜜華と?」
「みっちゃんじゃないよ」
ふるふると首を振ると、雪があたしを見つめる。
「……誰?」
「…花音ちゃん」
「カノン?誰それ」
「友達になった女の子。お兄ちゃん達と同じ学校なんだよ」
「…ふーん」
じゃあ仕方ないか、と小さく呟いた雪はあたしにひらひらと手を振ってから教室から出て行った。
そのまま雪がいなくなった方向を見ていると、
「雪に嘘ついていいの?知ったら怒るよ」
みっちゃんがニヤニヤしながらそんな事を呟いた。
「嘘じゃないよ?一臣君と花音ちゃんと翔君がいるもん」
「えー?でも一臣君の事言わなかったでしょ」
言える訳ないよ。
だって理由は分からないけど、
「男の子の話をしたら雪って不機嫌になるでしょ?」
「なるね」
「だから…」
言えない。
そう答えると、みっちゃんが苦笑した。
「雪も報われないね」
「???」
どう言う意味?
首を傾げたら、何でもないよって、みっちゃんに言われた。

