ー…
………
俺って最低だな。
部活が終わって、帰りの電車に乗りながら自分自身に溜め息を吐く。
香澄は俺が何をしようとしてしまったのかに気付いたのか気付いてないのか、微妙に分かんなかった。
ー…気付いてくれてない方がありがたいな。
って言うか俺って欲求不満?
「欲求不満には見えないけど」
「心をよむな。翔」
彼女と話していた翔が俺の方に振り返ったから、睨みつけてみる。
翔は彼女とだけ話してりゃいいだろ。
「よんでないよ。俺をなんだと思ってるの」
「エスパー」
「あたしは黒い人だと思う」
「…二人共ひどくない?」
「「全然」」
話してるうちに、電車が駅に停まり、ドアが開いた。
そこから入って来たのは、
「あ、香澄ちゃん」
「花音ちゃん!昨日はありがとう。翔君と一臣君も」
「いや…別に」
昨日、俺がキスしてしまいそうになった香澄だった。

