他校の君。【完】




それに俺が誰を好きとか言った事ねぇから部長は知らない筈。


(だよな。相手知ったら絶対怒ると思うし)


なぜなら部長は、みちる先輩に関係すると、かなり心が狭くなるし、嫉妬深くなるから。


「あ、もしかして香澄ちゃんに関係してる?」

「……!」


何気なく武に言われて、思わず動揺してしまった。


「香澄…?」


そんな俺の横で不思議そうに呟いた部長に何故か武が説明を始めてしまう。


「高城香澄ちゃんって言う、桜庭中央の弓道部の可愛い子です」

「あぁ、拓海の妹」

(……妹?)


納得したように頷いた部長に何で香澄を知ってるんだと内心驚いていたら、部長はチラリとグラウンドを見た。

そこでは野球部が部活動に励んでいる。


「あそこにいる俺の弟と今、バッテリー組んでるのが拓海」


部長の視線の先を追う。

ちょっと遠いから、顔までは分かんねーけど、


(香澄って兄貴がいるのか)


どうりで妹っぽい訳だと納得した。