ー…
………

「じゃあな」

「うん。バイバイ」


帰って行く背中が見えなくなるまでずっと見続けていた。

完全に見えなくなってから、白いステンレスの門をキーッと開けて中に入り、家の玄関をガチャリと開ける。


「ただいま」

「おかえり。どうだった?デート」


あたしより先に帰って来ていたお姉ちゃんがリビングのソファーでファッション誌を読んでいた。


「だからデートじゃないってば」


いつもなら帰ってくるのが遅いのに。


今日はちょっとだけ早い。


「で、どうだったの?」

「……っ」


どうだったの、ともう一度聞かれて、あたしは思わず顔を赤くしてしまう。

ー…どうもこうもないよ。

一臣君の取ったあの行動のおかげで、あの後合流したみっちゃん達と何に乗ったとか何を食べたのかとかを全く覚えてない。

それどころじゃなかった。

なのに、一臣君はなんでも無かったようなカオをするし。