ー…
………


「はい」

「ありがとう」


近くで買って来たジュースを香澄に渡すと笑顔で礼を言われた。

どうやら涙は引っ込んだらしい。

後、落ち着いてくれたか…?

混乱はしてないようだし。

ジーッと香澄を見下ろすとどこか恥ずかしそうに視線を外される。

ー…あぁ、あんまり男に慣れてないんだっけ。

それを思い出して、わざと視線を合わせてやろうかと思ったけど、


(さっき、泣かせたしな…)


「…ごめんね?大泣きしちゃって」


つらつらとそんな事を考えていると、香澄に小さく謝られた。

また謝られてる。


「いいよ。あれは俺も悪いし」


からかい過ぎた。

俺の方こそごめん、と謝ると香澄は小さく頭を振ってから何かを誤魔化すかのようにストローに口をつけた。

頬が赤くなってる。

それを見ていたら心の奥の何かがまたゆらゆらと揺らめく。


「香澄…」

「???」


何かに誘われるように、恥ずかし気に上目遣いで俺を見る香澄の唇にそっと自分のそれを近付けた。