ポケーッと見惚れている間に、一臣君はあっと言う間に三発を撃ってしまった。
一臣君ばっかりを見ていて、全く的を見ていなかったあたしは係員の人の『おめでとう』と言う言葉にハッと意識を戻した。
(え?おめでとう?)
的を確認しようと視線を動かそうとしたと同時に
「はい」
一臣君から何かを押し付けられた。
咄嗟に受け取って押し付けられたモノを見ると、さっき言ってたウサギの片割れ。
「これ」
一臣君が取ったの?
そう聞こうとしたら、
「やる」
と笑顔を向けられた。
「………っ」
照れてしまったのと嬉しいので声が一瞬出なくなってしまったあたしに気付いていない一臣君はウサギを取れた事に満足そう。
「あれで取れなきゃ格好付かないしな。取れてよかった」
「一臣君って凄いね」
「本気でやったから。ゲームに本気になるのもあれだけど。…ってか香澄も取っだろ」
「や、そうだけど。一臣君は凄いよ」
あの一瞬で空気が変わる所とか。
凄く惹き付けられる。
「そ?ありがと。じゃあ次行こーか」
「…うん」
歩き出した一臣君にあたしも歩き出した。

