他校の君。【完】



ー…
………


「はい、どうぞ」

「ありがとうございます!」


弾が運よく全部真ん中に命中して、係員さんから渡されたウサギのぬいぐるみ。

それを満面の笑顔で受け取ると、係員の人が


「彼氏さんの出番無かったね」


と苦笑した。


(……え?)


「…彼氏ですか?」

「そ。彼氏さん。これじゃあ彼女さんにいいとこ見せられないね」


苦笑いしたままあたしから一臣君に視線を移した係員さんに一臣君も苦笑した。


(か、彼氏って、しかも彼女って)


あたし達カップルに見えてるの?

それが嬉しくて、顔が緩みそうになったけど、

はた、と気付いてしまった。


『いいとこ見せられないね』


「………あ」


ここは取り敢えず失敗しといて、『取って?』って甘えた方がよかったんじゃ!?

どうしよう…。

普通に自分で取っちゃった。