他校の君。【完】



「次はちゃんと…「見なくても手、離さねぇから」


あんたはあんたで楽しめば?

隣からみっちゃんに向かって発せられた声に目を見開いて、驚いてしまうと、


「一臣、大胆~」


武君が冷やかすような声を上げた。


「武、面倒臭い」

「うん。ごめん」


一臣君と武君の会話が続くけれど、あたしの耳は完全に素通り。

だって、あたしの頭の中では、一臣君の言葉が何度もぐるぐる周っていたから。


『手、離さねぇから』


「……っ」


(一臣君ってもしかして…)

タラシさんなのかな?

あたしを妹っぽいとか言いつつ、一臣君の行動や言動は誤解を招くようなものばかり。


(こ、恐い)


一臣君にこんな行動や言動に自惚れちゃって告白しちゃったりなんてしても、

『いや、その気ないから』

って言われて玉砕しそうな気がする。