「あ、一臣君。…じゃねぇよ」

「ごめんなさい」


ったく、と呟いた一臣君に謝ると、一臣君の手があたしの手にのびる。

そして、


「はぐれんな」

「……っ」


ギュッと握られた手に、また頬が、熱くなった。


ー…
………


「ありがとう」


探してくれて。

隣を歩く一臣君に今度はお礼を言うと、


「香澄って放っとけないよな」


そんな事を言われた。


「放っとけない?」

「…放っとけない。電車じゃ爆睡してるし、生徒手帳落とすし、迷子になるし」


あたしにチラッと視線を移してから、一臣君は苦笑する。


「小さい妹とかいたらこんなんかもな」

「………!!」