「だって一臣が彼女作らないのって、みちる先輩が好きだからだろ?」

「………」


武の口から出て来た名前に思わず無言になってしまう。

武の言うみちる先輩とは多分三年の女子の先輩。

いや、多分って言うか確実にその先輩。

俺が知ってる中でみちるって言う名前は一人しかいない。


「……お前、何言ってんの?」

「何言ってんの?じゃねぇよ。他に好きな子出来たら一臣はツライ思いしなくていいだろ」


だから俺は一臣を応援すんの。


そう言われて、俺はかなり動揺する。

本当何言ってんだよ。

武は。

ってか何で知ってんだよ。

俺は言ってないし、態度にも絶対出してない。


「いくら一臣でもみちる先輩は無理だって」


なのに、何で俺がみちる先輩を好きだってバレてんだよ!


「あ、一臣が焦ってる」

「何で知ってんだよ」


ニヤリと笑った武を睨みつけると、武は視線をソロリと隣に向けた。

武の視線の先には、ニコリと笑う翔。

翔はやたら人の気持ちを見抜く。

武に気持ちがバレた原因はお前か。