カスミ
「…澄!ねぇ!香澄!」


ずっと見惚れていたら、突然友達に肩をガシリとつかまれて、あたしはビクリと身体を跳ね上がらせてしまった。


「立ったまま寝ないでよ。休憩終わりだよ?」

「え?もう!?」


だってさっき始まったばかり…。

って、もしかして見惚れ過ぎてて時間があっと言う間に経っちゃったって事!?


「あ、ほら集合だって部長が言ってる」


他の友人が呟いたのを聞いて、あたしは慌てて部長の所に走って行った。



ー…
………


     テンカイ
「やっぱ、天海って羨ましいなぁ」


今日の三校合同練習が終わって、学校から駅まで向かう帰り道、友人が羨ましそうに少し前を歩く団体を眺めて呟いた。


「だよねー。道場広いし、学校綺麗だし格好イイ子多いし、しかも文武両道のエリート学園」


ふんふんと頷いた友人も羨ましいね、と同意する。


確かに羨ましい。

今日の合同練習先だった天海は凄く綺麗だった。


ー…それに天海には、前を歩く団体の中にいる、あたしの憧れの彼も通っている。