残念に思いながら、ガクリと肩を落としたけれど、よくよく考えたらあれだよね。

一臣君と話したいなら誰かをあてにするんじゃなくて、自分から行動しなきゃダメだよね?


(でもなぁ)


残念な事にあたしにはそこまでの行動力が全く無い。

無いけれど、

自分で動かなきゃどうしようもない。


(明日の朝、電車で声かけちゃおうかな?)


一臣君を目の前にしたら上がっちゃって、何も言えなくなっちゃいそうな気がプンプンするけれど、


(…うん。頑張ってみよう)


一人コクリと頷いた。



キーンコーン

カーンコーン


頷いたすぐ後にチャイムが鳴って、ガラリと教室のドアが開いて化学の先生が入って来る。


「授業始めます」


ボソボソと呟いた先生の言葉を合図に席に戻った雪が、一人頷くあたしを面白くなさそうに見てたなんて、

一臣君の事ばかり考えていたあたしは全く気付かなかった。