ー…
………


「行って来ます」


朝。

晴れ晴れしい気持ちになる事は当たり前だけど到底出来なくて、かと言って沈み込む訳にも行かない。

そろそろ一臣君が迎えに来てくれるだろう時間帯に外に出て、朝の空気を感じながら、そっと視線を動かすと、


「あ、おはよ、香澄」

「…………え」


何故か普通過ぎる雪と、ばったり会ってしまった。


「時間、ちょっとかかるかなぁとか思ったんだけど、会えば意外といけるもんだな」

「……へ?え?」

「俺、かなり元気だから、だから気にすんなよ」

「気にすんな、って」

「そう。気にすんな。」


ニッコリと笑って、学校でな、と言った雪が歩いて行くのを眺めながら、あたしは呆気にとられてしまう。