他校の君。【完】



Side 一臣


ー…
………


「一臣、お疲れ~!」


朝からあった部活が終わった夕方。

…ってか夜。

部室で制服に着替えていた俺は、ロッカーから携帯の着信音が聞こえた為、携帯を取り出した。


「香澄ちゃん?」

「そう」


ネクタイを閉めながら聞いて来た武に短く返事を返した俺は、通話ボタンを押して電話に出た。

ディスプレイを見るより先に相手が香澄だと分かったのは、香澄からの場合だけ着信音が違うからだ。

今頃は後夜祭だな、とか考えながら『はい』と電話に出ると、


「…あ、一臣君…?」


電話の向こうから聞こえた彼女の声。

けど、その声が何故か泣きそうになっているように聞こえた俺は、


「香澄?どうした?」


片手で着替えを続行しようとしていたのを止めて、電話に集中した。