他校の君。【完】



いくら一臣君からのメールだからって、読みながら雪に返事をする訳には行かず、携帯を閉じてから『気にしないで』と首を振った。


「話って何?」


わざわざ呼び出して言うって事は何か大切な事?


「あの…さ」

「うん?」


えーと、と呟いた雪に首を傾げると、雪がチラリとあたしに視線を移した後、すぐに視線を別の方向に移した。


「???」

「俺と香澄ってさ」

「うん」

「幼なじみ…だろ?」

「うん」


幼なじみだね。


「小さい時からずっと一緒だっただろ?」

「うん」


一緒だったね。

小学校や中学校、そして高校も一緒で、

家が近所で親が仲良しだったから、雪とは塾や習い事も一緒だった。


「変わらないって思ってたんだ」

「???変わらない?」

「そう。変わらない。俺と香澄は今までがそうだったように、これからも変わらないって思ってた」

「うん?」


変わっては無いよね?


「だから、ゆっくりでいいって思ってたんだ」

「何を?」

「ゆっくり気付いてくれたらいいって」