他校の君。【完】




「って、あれ?何の話してたんだっけ?」


一臣君の話をしてから、思わず首を傾げてしまう。

すると、みっちゃんがクスリと笑った。


「きっかけの話」

「あ、そっか!」


きっかけの話じゃなくなっちゃってるよ。


「なのに、香澄から今聞けたの、ノロケだよね」

「………っ」


そうだね。

のろけちゃってるね…。

でもでも、のろけちゃうんだもん。

そんな自分に照れちゃいながら両手で顔を隠すと、


「香澄ってば照れてる」


可愛い~、なんて言われてしまった。

可愛いとか言われちゃうと、余計に照れちゃって、さらに恥ずかしがっていると、


「そっか。じゃあ雪は…」


と、みっちゃんが小さく呟いた。


「? 雪?」


雪がどうかしたの?

どうかしたのかと聞いたら、みっちゃんはどこか悲しそうに首を振った。


「何でもないよ」

「???」

「ただ、何でかなぁ。素直に喜んじゃえば楽なんだけど…。本当、何でだろう。あたしまで…」