他校の君。【完】




電車で寝ちゃってたら起こしてだってくれたし、一臣君には本当にお世話になってる。


「一臣君ってイジワルな事言うの」

「うん?」

「本人に自覚は無かったみたいだけど、付き合う前なんか思わせぶりな事を何度も言われたし、」

「うん」

「自覚が無い辺り、一臣君って、鈍感さんだよね。凄くドキドキさせといて『そんなつもりはねーけど』って言ってたんだよ?」

「多分、香澄には鈍感って言われたくないと思うよ?」


苦笑いするみっちゃんに、『じゃあ一臣君は鈍感さんじゃなくて、天然たらしさんだよ』と言い換えたら、みっちゃんがますます苦笑した。


「でね?思わぶりな発言をする癖に、一臣君ってば好きな人いたんだよ?」

「うん」

「でも、」


あたしの事を好きって言ってくれた。


そんな一臣君はあたしが思い描いていた人とは全然違った。

けれど、


「優しいんだよ」


もの凄く。


「頼りにもなるの」


一臣君は。

それに、心臓がドキドキし過ぎちゃうけど、一臣君と一緒にいられる事がいつも嬉しい。

彼の傍にいたいって凄く思う。